吉祥寺の歯科、こばやし歯科です。
普段の歯磨きで、当たり前のように歯磨き粉を使っている方も多いのではないでしょうか。
実際のところ、歯磨き粉を使うのは本当に良いことなのでしょうか。歯磨き粉とはどういうものなのか。
また、歯磨き粉を使用するとどのような効果があるのか、歯磨き粉の使用方法と共に解説していきたいと思います。
目次
歯を磨く時に使用されている歯磨き粉は、昔は粉状だった事から“歯磨き粉”と呼ばれています。
現在では、ペースト状のものがほとんどです。
ペースト状以外にも、ジェル状・液状・フォーム状など様々な形状の歯磨き粉が市販されています。
歯磨き粉は、「基本成分」と「薬用成分」で構成されています。
全ての歯磨き粉に、全ての成分が含まれているわけではありません。
いくつかの「基本成分」と、求める効果に応じた「薬用成分」で構成されていますので、紹介していきたいと思います。
含まれている薬用成分によって、様々な効果が期待できます。
代表的な薬用成分を紹介していきたいと思います。
モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム
フッ素による虫歯予防効果が期待できます。フッ素は、歯質を虫歯菌による酸から溶けにくくする効果や、歯から溶け出したカルシウムやリンなどを、再び歯質に取り入れる“再石灰化作用”を促進する効果があります。
塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、トリクロサン
殺菌作用があり、歯肉炎の予防効果があります。口臭の予防にもなります。
塩化クロルヘキシジン、トラネキサム酸
抗炎症作用があります。歯肉炎や歯周病を予防します。また、出血を抑える効果があります。
デキストラナーゼ
虫歯や歯周病の原因となる細菌の塊、歯垢(プラーク)を分解し、歯垢を除去する作用があります。
ポリリン酸ナトリウム
歯石の沈着を予防します。歯石が長い間沈着していると、歯周病の原因になります。
乳酸アルミニウム、硝酸カリウム
知覚過敏の症状がある時に、症状を抑制する作用があります。
このように、含まれている薬用成分の種類によって様々な効果が期待できます。
主な効果は、虫歯予防や歯周病予防です。
薬用成分の効果が期待できる点で、“歯磨き粉の使用”は良いことだと言えるでしょう。
歯磨き粉は、様々な薬用成分が含まれており、正しく使用すれば、薬用成分の効果が期待できます。
しかし、歯磨き粉の効果を期待するあまりに、肝心の“磨く”という作業がおろそかになってしまっては、全く意味がありません。
歯周病や虫歯の原因となるプラークは薬用成分だけでは除去する事ができません。
薬用成分の効果は、あくまで補助的なものです。
汚れを落とすためには、きちんと“ブラシで歯をこすって磨く”事が大切です。
歯磨き粉を使う事によって、汚れが除去しづらくなってしまう場合もあります。
次の3つの点を特に注意して歯磨き粉を使用するようにしましょう。
歯磨き粉には、清涼感を出すために、ミントなどの香味剤が配合されています。
この事により、口の中がさっぱりとするので、きちんと磨けていなくても“磨けた気になってしまう”事があります。
慌てて歯磨きをする人にありがちですので、歯磨きをする時には、座って磨くなどして落ち着いて磨くようにしましょう。
歯磨き粉には発泡剤が入っています。
泡立たせる事で、歯磨き粉を口の中に拡散させます。
口の中に歯磨き粉が行き渡る点では良いのですが、泡立つ事によって、こちらも“磨けた気になってしまう”事がありますので、注意しましょう。
歯磨き粉を付ける量は“小豆大”くらいが理想です。
歯磨き粉の性状(ペースト状・ジェル状など)は、どのようなタイプでも、効果に差はほとんどありません。
使用しやすい性状のものを選ぶのが良いでしょう。
ただし、通常のペースト状のものは、ジェル状やフォーム状のタイプと比較して、多く付けすぎてしまう傾向にあるので注意しましょう。
いかがでしたでしょうか。
歯磨き粉を使用すると、含まれている薬用成分により、虫歯予防や歯周病予防など効果が期待できます。
求めている効果に応じて、ご自分に合った歯磨き粉を選んで使うようにするのが良いでしょう。
しかし、歯磨きの本来の目的は、歯に付着した歯垢(プラーク)の除去です。
歯垢は、歯磨き粉では除去する事ができません。
しっかりと歯ブラシで擦って落とす事が大切です。
歯磨き粉の薬用成分による効果を期待しすぎないように、注意しましょう。
こばやし歯科院長 小林敦
・1983年 岩手医科大学歯学部卒業
・岩手医大付属歯科病院 歯周病学教室勤務
・TAO東洋医学会会員
・日本訪問歯科協会認定医