矯正に明確な年齢制限はないですが、ただ矯正は大人よりも子供が行う治療のイメージがありますね。
と言うのも、学校ではクラスに何人か矯正をしている子供を見かけるものですが、
大人では同じ社内で矯正をしている人はなかなか見かけません。
最も、これはあくまでイメージであり、例え大人でも矯正することは可能です。
しかしメリットの面で考えれば、やはり大人よりも子供の時に矯正しておいた方が良いでしょう。
矯正では抜歯が必要になるケースがあり、その目的は歯を並べるためのスペース作りになります。
歯を綺麗に並べることは、例えるならソファに綺麗に並んで座るのと同じことであり、
仮にそのソファが4人掛けのものだとしたら、5人の人間が並んで座るのは不可能です。
この場合、1人に退出してもらって4人で座るのが理想であり、
「退出=抜歯」、「ソファに座る人間=歯」と考えれば抜歯の必要性を理解できると思います。
しかし、子供の時に矯正すれば非抜歯で矯正できる確率が高く、それは子供が成長期であることが理由です。
成長期を終えた大人は顎が完成しているため、スペースが変化することはありません。
一方、子供は顎の成長次第で充分なスペースを確保できますし、
小児矯正は顎の成長を促進させつつの治療になるため、非抜歯で行える確率が高いのです。
大抵の場合、矯正している子供は本人ではなく親の希望で治療しています。
何しろ、子供は年齢的に考えて大人ほど歯並びの見た目にこだわっておらず、
親が子供の将来を心配して小児矯正を希望するのが最も多いパターンでしょう。
そんな親の配慮は決して間違っておらず、
子供の時に矯正しておけば大人になってから歯並びの見た目で悩むことはなくなります。
もちろん大人になってからでも矯正は可能ですが、ただ矯正は短期間で終わる治療ではありません。
1年以上の治療期間がかかり、その間も矯正装置を装着しなければならず、
歯並びの悪さの悩みが解消するのは矯正を開始してから1年以上も先になるのです。
その点、子供の時に矯正しておけば、大人になった時点で既に美しい歯並びが完成しています。
小児矯正では、矯正を第一期治療と第二期治療の2回に分けて行うのが一般的です。
第一期治療では永久歯が正常な位置に生えてくるようコントロールしながらの治療を進め、
第一期治療である程度歯並びが整った上で本格的な矯正となる第二期治療を行います。
第二期治療は大人の矯正と同じなのですが、
第一期治療を経ていることで第二期治療がスムーズに進みやすく、そのため治療期間も短くなるのです。
また、第一期治療の成果次第では第二期治療が不要と判断され、その場合は第一期治療のみで終わります。
中には、大人の矯正よりも子供の矯正の方が治療期間は長いという意見がありますが、
それは第一期治療も含めた場合であり、本格的な矯正の期間で比較すれば子供の方が短くなるでしょう。
短期間で本格的な矯正を終えられるのは、子供の時に矯正を開始する上での大きなメリットです。
患者さんの視点に立って考えれば、矯正において誰もが気になるのが痛みの有無だと思います。
そこでまずこれについて回答すると、矯正で痛みを感じるのは事実であり、
なぜなら矯正は歯を移動させる治療のため、歯が動いた時にどうしても痛みを感じてしまうのです。
この時、歯が動きづらければそれだけ大きな力を掛ける必要がありますから、
その分感じる痛みは大きくなり、歯が動きづらい大人の矯正では痛みを感じやすいでしょう。
一方、子供の歯はやわらかく、大人の歯に比べて動きやすい特徴があります。
ですから子供の時に矯正すれば大人に比べて治療の痛みを感じにくく、
そのため痛みが気になる人は子供の時に矯正を行った方が良いのです。
最も、小児矯正でも痛みがゼロというわけではなく、あくまで歯が動く時の痛みが小さいと解釈してください。
いかがでしたか?
最後に、子供の時に矯正しておくメリットについてまとめます。
1. 非抜歯で矯正しやすくなる :顎の成長を正常に促しつつの治療になるため、非抜歯で矯正しやすい
2. 大人になってから歯並びの見た目で悩まない :大人になった時点で美しい歯並びになっている
3. 本格的な治療期間が短くなる :第一期治療を経ていることで、本格的な第二期治療が短期間で終わる
4. 痛みが小さい :子供の歯は動きやすく、その分だけ大人の矯正に比べて痛みが小さい
これら4つのことから、子供の時に矯正しておくメリットについて分かります。
補足すると、矯正は審美面だけでなく健康面においてもプラス効果をもたらし、
歯並びが改善すれば歯磨きがしやすくなりますし、噛み合わせが改善すれば歯への負担も小さくなるでしょう。
そのため、例え見た目を気にしない人でも歯並びが悪ければ矯正をおすすめしています。
こばやし歯科院長 小林敦
・1983年 岩手医科大学歯学部卒業
・岩手医大付属歯科病院 歯周病学教室勤務
・TAO東洋医学会会員
・日本訪問歯科協会認定医